
「まずは週5で働くことを目指しましょう」
「フルタイムが無理なら、短時間でも」
「まず“普通の”生活リズムに戻すところからですね」そう言われ続けて、何年経っただろう。
“普通”の働き方ができない俺たちは、
今日もまた、「努力不足」と呼ばれている。
1|「働く=フルタイム」が前提の社会
発達障害グレーゾーン、精神障害、神経発達特性。
いろんな名前がついているけど、
俺たちが日常でつまずく理由は、だいたい共通してる。
音、光、人間関係、タスクの同時進行、スケジュール管理。
どれも“普通の職場”では避けようがないものばかりだ。
だけど世の中はこう言うんだ。
「配慮すれば、働けるでしょ?」
「工夫すれば、適応できるよね?」
「働くのは当たり前なんだからさ」
――だったら訊くけど、
朝9時から夕方5時まで、
ずっと蛍光灯の下で、電話の音を聞きながら、
曖昧な指示を読み取って、
期限のある仕事を並行してこなせって?
そんなの、俺たちから見たら拷問だよ。
2|合理的配慮は“空気を読んで受け取れ”
「うちは障害者雇用に理解があります」
「個性を大切にする職場です」
そう謳ってる企業の求人を見るたび、笑えてくる。
いざ面接に行けば、
「できれば週5フルタイムで働いていただけると助かります」
「急な休みはできるだけ避けてほしいです」
「作業スピードは少し遅くても、一定の成果は出してもらいたいです」
それ、“健常者でもつらいやつ”じゃないか?
合理的配慮って何だよ。
耳栓つけるのを許すこと?
定型の説明をちょっとだけ丁寧にすること?
違うだろ。
俺たちは、社会の“前提”から外れてるんだ。
普通に合わせるんじゃなくて、
そもそもの仕組みの方を問い直さなきゃ、
配慮になんかならない。
でも、現実には配慮をお願いするたびに、
「じゃあ、他の人と同じ扱いはできませんよ?」
「周囲とのバランスもあるので…」
そう言われて終わる。
空気読め、周り見ろ、甘えるな――
配慮って名前の、“我慢の強要”だった。
3|「できることを伸ばして」潰れていく人たち
支援者や面接官に、こう言われる。
「あなたには強みがあります」
「できることを活かしていきましょう」
「苦手は避けて、得意を伸ばしましょう」
……それでうまくいくなら、とっくにやってる。
俺は人前で話すのが得意だって言われて、
プレゼン資料の作成を任された。
でも、納期に間に合わせるのが苦手で、結局トラブルになった。
別のやつは、「手先が器用だから軽作業向き」と言われて、
延々とライン作業に回された。
でも、感覚過敏で指先が痺れて、精神的に壊れた。
「強み」が、その人を救うとは限らない。
「得意」に見えるだけで、実はギリギリのところで保ってる場合だってある。
だけど、それを誰も気にしない。
「できるならやって」
「やれるならやれ」
……そう言われて、俺たちは“使い潰される”。
4|「甘えるな」の先にある地獄
何をしても、最後はこれで締めくくられる。
「それって、甘えじゃないですか?」
「みんな、しんどい中で働いてるんです」
「自分だけ楽しようとしないでください」
誰が“楽”なんかしてるか。
朝起きるだけで、エネルギー使い果たして、
職場にたどり着くだけで、吐き気をこらえてる。
それでも、遅れずに出勤して、
“普通のフリ”をして、
帰って寝込んで、また次の日に備えてる。
その繰り返しのどこに、「甘え」がある?
でも、周りはこう言う。
「それなら働かなくていい」
「社会に出る資格がない」
……じゃあ、俺たちはどこに行けばいい?
家に引きこもってれば「税金泥棒」って叩かれる。
頑張って職場に出ても「配慮しろって、ワガママだな」って言われる。
逃げ場なんか、どこにもない。
5|“普通”に殺されかけてる俺たちへ
“普通に働けない”って、そんなに罪か?
職歴が途切れてるだけで、
「怠けてたんですね」って見られて、
病名を出せば、「じゃあうちじゃ無理です」って門前払い。
俺はただ、生きていたいだけだった。
人並みに暮らして、人並みに寝て、人並みに笑いたかった。
でも“人並み”の定義が、あまりに狭すぎた。
そこに俺たちの生きる場所はなかった。
結局、社会が望んでるのは「問題を起こさない障害者」だ。
静かに働いて、文句を言わずに成果を出して、
何かあっても「自己責任」で処理してくれる人間。
そんなの、無理に決まってるだろ。
それでも頑張った奴らが、今日もひとり、またひとりと潰れていってる。
だから、俺はもう“普通”になろうとは思わない。
どう足掻いても、それは俺たちに用意された舞台じゃない。
誰かが言ってた。
「自分のサイズに合わない靴で走るのは、努力じゃなくて拷問だ」って。……それでも走らされて、足が折れても、
「甘えずに歩け」と言われる。そんな場所で、“まとも”に生きようとした俺たちは、
ただ静かに、壊れていくだけだった。

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