
1.ニュースと現実のギャップ
毎朝ニュースで流れる。「人手不足が深刻です」「今は売り手市場です」。
画面の向こうの専門家は、まるで全員に仕事があふれているみたいに言う。
だけど現実はどうだ?
俺のパソコンに映るのは「不採用」の文字ばかり。求人サイトで「未経験歓迎」って書いてあるから応募したのに、実際は「未経験でも若くて頭の回転が速く、コミュ力がある奴」しか通らない。
「誰でもいいです」と口では言っても、履歴書を送れば秒速で落とされる。
人手不足っていうのは、あくまで企業が望む“理想的な即戦力”が不足しているって意味で、俺みたいな空白持ちやスキルなしの人間を欲しがってるわけじゃない。
つまり「売り手市場」は、最初から俺を対象外にしてる言葉だ。
2.ブランク=怠けの証拠?
面接で必ず突っ込まれるのが「空白期間」。
俺は正直に「体調を崩して休養していました」と答える。
すると、面接官の顔が一瞬固まる。その後の質問は決まってこうだ。
「その間に何か資格を取りましたか?」
「社会との接点はどう確保していましたか?」
要するに「ただ休んでただけ?」ってことだ。
俺にとっては生き延びるための戦いだったのに、面接官の目には「怠けて寝ていただけ」に映るらしい。
「しっかり充電できたでしょうから、次は頑張ってくださいね」なんて柔らかい言葉で締められるが、裏の意味は「次もダメだろうけどな」ってことだ。
売り手市場?笑わせんな。空白のある人間は、最初からその市場の外に放り出されてんだよ。
3.「できて当たり前」ができない地獄
WordとExcelくらいなら使える。簡単な関数だっていける。
けど今の時代、それを胸張ってアピールするのは痛いだけだ。
面接官は「それくらい、今どき学生でもやってますよ」と言わんばかりの目で見る。
「じゃあ、VLOOKUPは使えますか?」
「マクロは?ピボットテーブルは?」
聞かれるたびに答えに詰まる。
俺の唯一の武器が、面接の場で次々と無価値にされていく。
結局、「できて当たり前」のスキルしか持たない俺は、誰でもできることしかできない人間って烙印を押される。
「誰でもできる仕事」でさえ、人並みにこなせないのに。
4.即戦力信仰の現場
求人票には「未経験歓迎」って書いてある。でも実際に面接に行けば、「で、何ができますか?」と問われる。
「教育制度はあります」と書いてあった会社も、「最初から一人で回せる方を探してまして」と平気で言う。
教育にコストをかけるつもりなんてない。
だから俺みたいな「リハビリ就労」の人間は、最初から席すら用意されてない。
面接官の笑顔は丁寧なのに、言葉の奥は冷たい。「正直、採る理由が見つからない」と顔に書いてある。
「売り手市場」の真実ってのは、要は「選べる側が強い」ってだけの話。
俺が売り物にならない以上、この市場に立ってても意味がない。
5.年齢という絶対的ハンデ
二十代なら、まだ言い訳がきく。「若いからこれから成長できる」。
だけど三十代、ましてや三十五を過ぎれば、「伸びしろ」なんて言葉は消える。
面接官の視線は冷ややかだ。
「なぜ今まで正社員で続かなかったんですか?」
「キャリアが途切れている理由を詳しく」
まるで裁判官みたいな口調で、俺の過去を品定めする。
俺が答えれば答えるほど、履歴書の空白が「言い訳」の積み重ねに見えていく。
「これから頑張ります」と言っても、「三十代後半で?」と心の中で笑ってるのがわかる。
この年齢になると、挑戦じゃなくて「即戦力」しか求められない。
つまり俺は、面接に出る前からすでに負けてるんだ。
6.面接という名の公開処刑
ある面接では、面接官がため息まじりにこう言った。
「うーん、正直、今いる社員たちと比べると…」
比べられるまでもなく、俺が劣ってるのは自分でもわかってる。
でも、こうやって口にされると心臓を握りつぶされるような気持ちになる。
「やる気はあるんですか?」
「体調面は大丈夫なんですか?」
「正直、また辞めちゃうんじゃないですか?」
遠回しに「信用できない」と宣告される。
これを何十回も繰り返せば、誰だって心が折れる。
売り手市場?冗談だろ。俺にとっては「不採用市場」以外の何物でもない。
7.成功者との地獄の比較
家に帰ると、SNSで同年代の奴らが「転職して年収アップしました!」なんて投稿をしている。
「資格を取ってから人生変わった」とか「在宅ワークで月収50万」とか。
それを見てるうちに、俺の小さな希望なんて完全に消えていく。
彼らと俺の違いは何なんだ?努力量?才能?
いや、正直に言えば「もう最初から土俵が違った」んだろう。
売り手市場は、彼らみたいに健康で、空白もなく、要領のいい人間のためにある。
俺みたいに転んで立ち上がれないやつには、その売り手市場は存在しない。
8.結論:売り手市場は幻想
結局のところ、売り手市場ってのは「優秀で無傷な人が選び放題」ってだけ。
ブランクあり、短期離職歴あり、スキル不足。そんな俺にとっては、市場に出ても誰も手を伸ばしてこない。
求人サイトに並ぶ「未経験歓迎」「人柄重視」なんて言葉は、俺には一切適用されない嘘だった。
だから今日も俺はパソコンに向かって、エントリーシートを送っては「お祈りメール」を受け取る。
売り手市場?笑わせんな。あれは夢の国の話で、俺が住んでるのは現実っていう名の地獄だ。

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