おはようございます。
精神科医の宮口幸治さんが書かれた『どうしても頑張れない人たち』を読み終わりました。
前著の『ケーキを切れない非行少年たち』を書かれた方と同一人物です。
個人的には『ケーキを切れない非行少年たち』より面白かったです。衝撃を受けたと言った方が正しいかもしれません。
『どうしても頑張れない人たち』のあらすじ
世間では『頑張る人を応援します』『やればできる』『頑張った人をほめましょう』といった類の言葉であふれています。
企業のCM・キャッチフレーズや教育現場のスローガン等でもよく見かけます。
これらの言葉自体が悪いというわけではありません。
しかし…裏を返せばそれは、『頑張らなかった人は応援されない』『頑張ら(れ)ない人は褒められない』ということになるのでは?
『頑張ろうとしたけど頑張れなかった人たち』『頑張ってもできない人たち』『どうしても怠けてしまう人たち』はどうなるのだろうか?
という所からこの本は始まります。
『何も頑張ってない人が応援されない/褒められないのは当たり前だ』と思われるかもしれません。
現代では頑張ったかどうかの評価というのは、結果で示されることが多いです。
勉強であればテストでいい点を取れば、『頑張って勉強したんだね』と言われます。
仕事であれば、より高い売上、受注件数の多さ、お客さんをさばいた数など。
『頑張ったけど成果が出なかった』という場合、子供なら一定の評価をされるかもしれません。
もし大人が『頑張ったんですが前年比売上80%でした』なんて言ったら上司のカミナリが落ちるでしょう。
子供でも、テストの点数がイマイチなら、『がんばりが足りないんじゃないか』『努力の方向性が違うんじゃないか』と
言われる可能性があります。
世の中には、どうやっても頑張れない人たち・頑張っても出来ない人たちがいます。
“そもそも頑張れない人たち、怠けてしまう人たちにこそ、本当は支援が必要ではないか?”
という話を深堀りしていくのがこの本の主な内容となっています(違ったらすいません)
この本は第8章構成で、200ページも無い薄い本です。しかし全部紹介すると膨大な量になるので、
いくつか印象に残った部分を紹介して終わりにしようと思います。
『頑張ったら支援する』の恐ろしさ
『やればできる』『頑張る人を応援します』『頑張った人には支援を約束します』
これらは『努力することができる』『努力した結果一定の成果を出せる』人向けの言葉です。
裏を返せば、『もしあなたが頑張らなかったら、支援はしません』という意味にも取れます。
当然と言えば当然かもしれませんが、本当に支援が必要な頑張れない人たちを見放す言葉になっているのでは?という内容です。
『頑張らなくてもいい』という風潮
『頑張る人を応援します』等の広告やキャッチコピーが多い中で、最近見かけるのが
『頑張らないで生きよう』『もっと手を抜こう』『嫌な事は我慢しない』等のフレーズです。
これらは、そもそも今まで頑張ってきた人向けの言葉です。
本当に最初から何も頑張らず、手を抜いて、嫌な事を我慢せずに生きていたら、社会で生きていくのは厳しいでしょう。
著者はこれらの言葉を頑張れない人たち、頑張れない子供たち、支援者が誤解して受け取ってしまう可能性を指摘しています。
『頑張らなくていい』は本当か?
『頑張らなくていい』『頑張らない生き方』『もう我慢しなくていい』といった言葉たち。
これらは、すでに社会で頑張っている・我慢して生きている人に対して
『そもそも頑張ること・我慢して生きることが前提だけど、そこまでしなくてもいいよ』という意味で書かれています。
まだ頑張っていない人に対して送られる言葉ではないのです。額面通りに受け取ってはいけないのです。
しかしTV・ネット・電車や街中の広告などで『頑張らないで生きよう』『少し手を抜こう』といった言葉は
沢山発信されています。
これらをまだ頑張っていない人・頑張れない人たちが見ると、『そうか、頑張る必要はないんだ』と誤解してしまう可能性があります。
特に子供の場合、『頑張らなくてもいい』という言葉かけは今現在直面している問題を先送りしてしまうリスクがあります。
計算が苦手な子供に『計算は苦手でも漢字は得意だから』といって計算の習得を放置したら、その子は確実に授業についていけなくなります。
その責任はだれも取ってくれません。小学校の計算でつまずくと、中学以降の数学に付いていくのは厳しいでしょう。
『頑張らなくていい』『頑張らない生き方』『もう我慢しなくていい』といった言葉たちは、恐らく
成人して社会人として働いている人向けに作られたものです。
大体書いているのは転職サイトや、広告系の企業なのではないでしょうか。
『合わない仕事を無理して続ける必要はない』というのは私も同意見ですが、
『ちょっとでも嫌になったらすぐ辞めてもいい』『適当に働いてもいい』という意味では無いと思います。
転職サイトや人材系の企業は、人をA社からB社へ紹介、転職、派遣させることで手数料や紹介料をもらって稼いでいます。
つまり、安易に転職してくれる人が増えれば増えるほど儲かるのです。だから転職を勧めるような広告をバンバン打つわけです。
きちんと考えた上での転職はともかく、広告やキャッチコピーにのせられて安易な離職・転職を考えることはおすすめしません。
長くなってきたのでこの辺で切ろうと思います。
私が紹介した以外の部分には、『頑張っても出来ない人たち』の詳細や支援者の関わり方について書かれています。
発達障害当事者や支援者の方が読んでも参考になる本だと思います。
気になった方はぜひ読んでみてください。
ここまで読んで下さりありがとうございました。
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