
──「能力」より「愛想」、それが俺の落ち続けた理由
1.「真面目」は褒め言葉じゃないと知った
30代にもなると、面接でこう言われることが増えた。
「真面目そうですね」
「誠実なのは伝わります」
でも、そのあとに続くのは決まっている。
「ただ、うちはコミュニケーションが大事でして…」
「柔軟性が求められるんですよね」
──要するに「お前は空気が読めない」ってことだ。
ASD傾向がある俺は、ずっと真面目にやってきたつもりだった。
でも、職場では「頑固」「融通が利かない」「やりにくい」と言われてきた。
そして今、面接では「落とす理由」にされる。
2.「空気を読む力」が試される面接地獄
転職活動は「能力」を売り込む場だと思ってた。
でも現実は「察する力」を測る場だった。
・質問の意図を汲んで答える
・冗談に笑ってみせる
・面接官の表情を読み取る
・答えをまとめすぎない、でもダラダラ話さない
ASDの俺には、どれも鬼門だった。
緊張すると、一問一答みたいな会話になる。
冗談を言われても反応が遅れる。
雑談が死ぬほど苦痛だ。
──「コミュニケーション能力が高い人を求めています」
求人票に書いてあるこの言葉は、俺にとって「お断りします」に見えた。
3.「経験者優遇」の罠──俺は経験を“活かせなかった”だけ
「30代なら経験者ですよね」
企業はそう言う。
でも俺の職歴は短期離職の連続。
どこでも「最低限の業務」は覚えた。
でもそれ以上は無理だった。
チームワークができない。
報連相がズレる。
同僚の顔色を読むのが苦手でトラブルになる。
結局、経験は「年数」だけ増えたけど、
「即戦力」なんかじゃなかった。
──「経験者扱いで落とされる未熟者」
それが俺の立ち位置だ。
4.「障害者雇用ならいいんじゃない?」の残酷さ
友達に言われたことがある。
「障害者手帳、取って雇用枠で働けば?」
取った。
開示した。
でも、求人票を見たら大半が「軽作業」「清掃」「事務補助」。
年齢制限は35歳以下が多い。
俺はもう後半戦だ。
面接では「配慮は何が必要ですか?」と訊かれる。
正直に言うと、「それは難しいですね」と断られる。
黙ってると、「それなら一般枠で大丈夫ですね?」と普通の仕事を振られる。
そして、ついていけずに辞める。
──どっちでも地獄だった。
5.終わりに:「空気が読めない人間に、社会は説明すらしない」
面接は空気を読む試験だった。
「明るい人」「柔軟な人」「チームに馴染む人」
全部“空気”で判断される。
ASDの脳は言葉で説明されないルールに弱い。
「言えば分かる」は通じない。
「察しろ」ができない。
でも、社会は言わない。
「あなたは空気が読めないから落とします」なんて誰も言わない。
「今回はご縁がなく…」で終わる。
だから俺は落ち続ける。
気づいたときには、履歴書が真っ黒だ。
「この人は続かない」「問題がある」と思われて終わる。
──「働ける人」になる方法を誰も教えてくれなかった。
そして、もう遅い。
社会は、空気を読めない人間を、そっと選考から外していく。

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