
障害者雇用枠での就職活動。雇用の安定や社会参加のために大切な一歩ですが、残念ながらすべての企業が障害者にとって働きやすい環境を整えているとは限りません。
中には、法定雇用率の達成だけが目的で、実質的に配慮のない“ブラック企業”も存在します。
では、どうすればそうした企業を避け、安心して長く働ける職場を見つけられるのでしょうか?
この記事では、障害者雇用での就職・転職活動をする際にブラック企業を見抜く方法を、実例やポイントを交えながら解説します。
「ブラック企業」とは?障害者雇用での特徴
まずは、障害者雇用における「ブラック企業」の特徴を整理しておきましょう。一般的なブラック企業の特徴に加えて、障害者雇用枠ならではの問題も存在します。
一般的なブラック企業の特徴
- 長時間労働・残業代未払い
- パワハラ・モラハラが横行
- 離職率が高い
- 正当な評価制度がない
- 労働契約の条件が違う
障害者雇用に特有の問題点
- 障害特性への配慮がまったくない
- 実態としては「名ばかり雇用(出社しても仕事がない)」
- 労働環境が一般社員と極端に分断されている
- 社内での孤立を放置
- 求人票と実際の業務内容が異なる
- 「障害者=簡単な雑務」という偏見に基づく配置
こうした特徴が複数当てはまる企業は、障害者雇用において「ブラック」と呼ばれても仕方がないでしょう。
ブラック企業を見抜くための情報収集術
① ハローワーク・エージェントの情報を鵜呑みにしない
ハローワークや障害者専門の就労エージェントは便利ですが、紹介されたからといって「安心」とは限りません。
求人票に書かれた内容と実態が異なるケースもあるため、他の手段での情報収集が不可欠です。
② 就職先の口コミサイトをチェック
企業の実態を知るためには、口コミサイト(例:OpenWork、転職会議、キャリコネなど)が参考になります。特に以下のような点に注目しましょう。
- 「障害者雇用」「特例子会社」などのキーワードが口コミに含まれているか
- 評価が極端に低い(または極端に高すぎる)傾向がないか
- 離職率の高さや職場の雰囲気に言及があるか
口コミサイトは匿名性が高いため、すべてが事実とは限りませんが、複数の投稿に共通する指摘があれば信憑性は高まります。
③ 会社のIR情報・CSR活動もヒントに
上場企業であれば、IR(投資家向け情報)やCSR(社会貢献)レポートを公表していることがあります。
そこに「障害者雇用」への取り組みが明記されているかを確認するのも一つの方法です。
面接や見学時にチェックすべきポイント
実際に企業と接点を持つ機会(面接・職場見学など)は、ブラック企業かどうかを見極める絶好のチャンスです。
① 面接官の態度や配慮
- 障害内容について真摯に聞いてくれるか?
- 配慮の必要性を理解しようとする姿勢があるか?
- 一方的に業務内容を押し付けてこないか?
一見して「圧迫面接」や「流れ作業的な面接」である場合、職場も同様の扱いをしてくる可能性があります。
② 配慮事項の確認に対して曖昧な返答
たとえば「勤務時間は柔軟に対応できますか?」という質問に対し、「まあ、現場と相談ですね」という曖昧な返事をされるようなら要注意です。
本当に配慮の体制がある企業は、具体的な事例を示しながら説明してくれます。
③ 実際の職場環境を見る(できれば現場見学を依頼)
- 働いている人の表情は明るいか?
- 障害者と健常者の分断があるか?
- トイレや休憩スペースなども確認
見学時に案内される場所がごく一部で、実態が見えにくい場合も注意が必要です。
特例子会社=安心ではない?ケースで見る注意点
障害者雇用と聞くと「特例子会社=働きやすい」と思われがちですが、一概にそうとは言い切れません。
【ケース1】配慮が過剰すぎてキャリアアップが望めない
特例子会社の中には、仕事の難易度が低く設定されすぎていて、「これ以上の成長が望めない」と感じる方もいます。
長期的なキャリアを考えるなら、「次のステップ」をどう描けるかが重要です。
【ケース2】健常者のサポート体制が薄い
職場に障害者ばかりで、支援者が少ないケースもあります。「相談できる相手がいない」「業務指導が曖昧」という状態では、仕事の質もモチベーションも下がりやすくなります。
契約書・労働条件通知書を必ず確認
内定後は、契約書や労働条件通知書の内容を細かくチェックしましょう。特に以下の項目に注意が必要です。
- 勤務時間・休憩時間
- 雇用形態(契約社員・嘱託など)
- 業務内容の記載(「その他雑務」とだけ書かれていないか)
- 時給・賞与・昇給などの待遇
- 試用期間の有無と条件
不明点があれば遠慮せず確認しましょう。回答を渋る企業は、それだけで「赤信号」と考えていいかもしれません。
信頼できる支援者や専門機関を活用しよう
一人で就職活動をするのは大変です。支援機関をうまく活用することで、ブラック企業に引っかかるリスクを大きく減らすことができます。
- 就労移行支援事業所:模擬職場訓練や実習、職場定着支援もしてくれます
- 地域障害者職業センター:職業適性検査やアドバイスが可能
- 障害者雇用エージェント(atGP・dodaチャレンジ等):企業との交渉も代行
- ジョブコーチ制度:実際の就労現場での支援を受けられる場合もあります
また、就職前に「職場実習」を入れてもらえるか交渉するのも有効な手段です。数日でも実際に働くことで、職場の空気や雰囲気を体感できます。
まとめ:焦らず、見極める目を育てよう
障害者雇用での就職は、「就職できれば終わり」ではありません。
自分に合った環境で、安心して長く働き続けるためには、「就職先を選ぶ目」を養うことが何より大切です。
ブラック企業を避けるためには、情報収集を多角的に行い、面接や見学での違和感を大切にし、契約内容をしっかり確認し、支援者と連携を取ること。
これらのステップをしっかり踏むことが、後悔のない就職への近道となります。
誰にでも、「安心して働く権利」があります。その権利を守るために、自分自身の目と耳と感覚を信じて、納得のいく選択をしていきましょう。
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