
第一章:あなたの「得意」が生きる場所は、きっとある
こんにちは。この文章を読んでくださって、ありがとうございます。
きっと、あなたは今、「自分に向いている仕事ってなんだろう?」「働くって、ちょっとこわいな」と感じているかもしれません。まわりの人とうまく話せなかったり、突然の予定変更が苦手だったり、「みんなと同じように」がむずかしいこと、ありますよね。
でも、大丈夫です。それは「わがまま」ではありません。あなたには、あなたの感じ方や考え方があって、それはとても大切なものです。自閉スペクトラム症(ASD)のある人には、「苦手なこと」もありますが、「とくいなこと」もたくさんあります。そして、その「とくいなこと」が、仕事の中でとても役に立つことがあるんです。
この文章では、そんな「あなたのとくい」が活かせるお仕事について、いくつかご紹介していきます。
第二章:毎日が同じリズムで進むお仕事
ASDのある人の中には、「毎日同じことをするのが落ち着く」「決まった順番があると安心する」という方が多くいます。そんなあなたにぴったりなのが、「きまった作業をくり返す仕事」です。
たとえば、
- 書類をきれいに並べる仕事
- 商品にシールを貼る仕事
- 決まった場所にものをしまう仕事
- 工場で部品をチェックする仕事
こうしたお仕事は、「今日は何をするのか」がはっきりしていて、急な変化も少ないので、落ち着いて働くことができます。しかも、くり返すのが得意なあなたにとっては、むしろ楽しく感じるかもしれません。
もうひとつ、人気があるのが「パソコンの仕事」です。たとえば、
- データを入力する
- 画像を整理する
- かんたんなプログラミングをする
パソコンの仕事は、あまり人と話さなくてもできることが多いので、「会話が苦手」という人でも安心です。しかも、どんどんスキルアップできるので、「少しずつ成長したい」と思っている方にも向いています。
第三章:「こだわり」が仕事になるとき
あなたは、すごく好きなものや、すごく気になることってありませんか?
たとえば、「電車のダイヤ」「昆虫」「パズル」「お金の計算」「動物の種類」など、一つのことに夢中になれる力は、ASDのある人のすばらしい特徴です。
その「こだわり」や「集中力」が、仕事に活かせることもあります。
たとえば、
- 電車が好きな人が、駅でお客様を案内する仕事
- 数字が好きな人が、レジや売り上げの記録をつける仕事
- 動物が好きな人が、ペットショップでえさをあげたり掃除をする仕事
- 細かい作業が好きな人が、工場で精密な部品を組み立てる仕事
あなたの「これが好き!」という気持ちは、きっと誰かの役に立ちます。それを仕事にできたとき、自分に自信がもてるようになるんです。
第四章:安心して働ける場所を見つけよう
「仕事ができるか不安」「まわりの人にどう思われるか心配」——そう感じるのは、自然なことです。でも、安心してください。最近は、ASDのある人が働きやすいように、いろいろなサポートがあります。
たとえば、
- わかりやすいマニュアルを用意してくれる職場
- 作業を見て、ゆっくり教えてくれる先輩がいる職場
- 毎日同じ時間に同じ作業ができるように工夫してくれる職場
こういった「やさしい職場」が、すこしずつ増えてきています。
また、「就労移行支援事業所」や「特例子会社(しょうがいのある人のための会社)」なども、あなたに合ったお仕事を一緒に探してくれたり、面接の練習をしてくれたりします。
一人でがんばらなくて大丈夫。支えてくれる人が、ちゃんといます。
知識や思考力をいかせるお仕事
また、ASDのある方の中には、「記憶力がすごく良い」「筋道立てて考えるのが得意」「細かいミスにすぐ気づける」など、頭の使い方がとてもすぐれている方もいらっしゃいます。
そういった力をいかせる仕事として、たとえば次のようなものがあります。
● プログラマー・システムエンジニア
コンピューターを使って、ソフトウェアやアプリをつくる仕事です。コンピューターは「言葉よりも正確なルール」で動くので、「人の気持ちを読むのが苦手」という方でも、論理的に考える力があればとても向いています。自分のペースで集中できる環境も増えてきています。
● データ分析や資料作成の仕事
数字や表、グラフなどを読み取って、まとめる仕事です。正確さや注意深さが求められるので、細かいところによく気づく方におすすめです。エクセルやパワーポイントが使えると、さらに仕事の幅が広がります。
● 校正・チェックの仕事
文章やデータの「まちがい」を見つけて直す仕事です。たとえば「雑誌の誤字をチェックする」「ホームページのリンクが正しくつながっているか確認する」など。集中力と、細かい違いに気づける力がいかされます。
● 研究・調査のお手伝い
大学や研究機関などで、実験のデータをまとめたり、図表をつくったりするサポートの仕事です。決まったルールにそって、正しく仕事を進められる方にぴったりです。
知ることが好きな方には、楽しいお仕事になるかもしれません。
これらの仕事は、「人と話すのが苦手」でも、「ひとりでコツコツ考えるのが好き」な方に向いています。
とくにIQが平均以上のASDの方にとっては、まわりから「そんなことまで覚えてるの?」「そこまでこだわらなくてもいいよ」と言われた経験があるかもしれません。でも、それこそが大きな力なのです。
まとめ
ASDの人が安心して働くためには、「苦手をがまんする」のではなく、「とくいを活かす」ことが大切です。そして「何が得意か」は人によってちがいます。
くり返しが得意な人、細かい違いに気づく人、ルール通りにきっちりやるのが好きな人、人との会話は少ないほうが安心する人、そのすべてが「社会の中で必要とされる力」です。
あなたのその力を、どうか大事にしてくださいね。
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