
1. 配属初日「障害への理解がある」なんて言葉を真に受けた
採用面接のとき、人事はにこやかに言ってくれた。
「配慮します」「無理のない範囲で」
「安心して働けますよ」
その言葉を信じた俺がバカだった。
配属先の現場は人が足りない。
だからこそ障害者雇用で人を補充してる。
「できないことは無理しなくていい」と言いながら
「でも納期は絶対」「でも急ぎで」「でも融通を」
俺がテンパるたび、周りは無言になる。
気まずさが空気に染み込む。
いつの間にか、会話も必要最低限。
何か言えば「は?」「ああ、もういい」
目が冷たい。
2. 仕事を外される
小さなミスが重なる。
報連相が下手だ。
先読みができない。
周囲の動きが読めない。
最初は教えてくれた先輩も、もうため息ばかり。
「また?」「何度言った?」
声が大きくはならない。
怒鳴りはしない。
でも明らかに呆れてる。
やがて俺の仕事は減った。
「別の人がやるから」「君はこっちを」
雑用。コピー取り。荷物運び。
「簡単だから君でもできる仕事」
“配慮”の名目で、何も任されなくなる。
俺の椅子はあるのに、役割はない。
職場に居ても居なくても同じ。
透明人間みたいになった。
3. 「居づらさ」という追い出し方
人事は直接クビとは言わない。
でも、俺はわかる。
職場全体が「早く辞めろ」って雰囲気を醸してるのを。
昼休みは一人で食べる。
話しかけても返事が素っ気ない。
必要な指示も紙に書いて机に置かれるだけ。
もう会話したくないってことだ。
「体調、大丈夫?」と声をかける上司もいる。
やさしい言葉に見えて、実質「もう休めば?」だ。
周りが「こいつのせいで仕事が回らない」と思ってるのを感じる。
居たたまれない。
4. 支援機関も「仕方ないですね」で終わる
メンタルが崩れて相談に行く。
「働き続けたいです」
「でももう職場に行きたくない」
そう伝える。
支援員は困った顔をする。
「そうですか…職場が合わなかったのかもしれませんね」
「他の職場を探しましょう」
結局「合う職場」を探すしかない。
でも俺に合う仕事って何だ?
コミュニケーション力必須、マルチタスク必須の求人票しかない。
障害者雇用でも「即戦力」ばかり。
「また就活からやり直し」
「でももう職歴に傷がついた」
支援員は優しい顔して、結局何もしてくれない。
現実を変えられるのは自分だけ?
でも俺に何ができる?
5. 退職届を書きながら考えた
最終的には自分から辞めるしかなかった。
「退職届を出せ」とは誰も言わない。
ただ、居心地を悪くされるだけだ。
机を片付けながら、悔しさがこみ上げる。
「障害者雇用だから安心」なんて大嘘だった。
軽度の、コミュ力の高い「できる障害者」なら居場所がある。
俺みたいな特性の強い奴は、居てもらっては困るんだ。
次の仕事?
もう怖い。
面接でまた「頑張ります」と言わなきゃいけないのか。
「前職はどうして辞めたんですか」
「また同じことになるんじゃないですか」
そう聞かれるのがわかってる。
6. 「安心して働ける場所」はなかった
家に帰って一人。
履歴書の空欄が増えていく。
職歴は汚れ、年齢は上がり、求人は減る。
「君にできる仕事はもうない」
誰もそうは言わないけど、求人票がそう言っている。
「障害者枠」で守られるのは「普通の障害者」だけ。
普通って何だ。
コミュ力があって、空気が読めて、ストレス耐性が高い障害者?
それって障害者なのか?
「不適応を起こした障害者」の末路は
どこにも行き場がないことだった。
無理やり辞めさせられるわけじゃない。
ただ、どこに行っても「居づらさ」で心を折らせられるだけ。
これが俺の現実だ。
次の職場でも、また同じ結末が待っている気がしている。
でも働かないわけにはいかない。
この先も、きっとまた壊れるまで働くんだ。
そうするしかないんだよ。

にほんブログ村

にほんブログ村

にほんブログ村

にほんブログ村
コメント