ADHDの人に向いている仕事

がんばりすぎないで、自分の「得意」をさがしましょう

ADHD（注意欠如・多動症）と聞くと、まじめな人ほど「私はちゃんとできていない」と思ってしまうことがあります。

忘れ物が多い。落ち着かない。話を最後まで聞けない。そんな自分を責めたことは、ありませんか？

でも、私はこう思うのです。ADHDは、だめなことの名前ではありません。むしろ、「ちょっと変わった頭の動き方」なのです。そして、その動き方には、とてもおもしろい力がかくれています。

たとえば、すぐにアイデアがうかぶ。行動が早い。思いついたら、すぐに動ける。これは、なかなか誰にでもできることではありません。

だからまずは、「どうしてできないの？」ではなく、「何ができるのかな？」という目で、自分を見てみましょう。

がんばりすぎなくていいのです。大事なのは、あなたのやり方で進める仕事を見つけることなのです。

ADHDの人は、毎日おなじことをくり返す仕事が苦手なことがあります。ずっと同じ作業、同じ時間、同じ手順。これがつづくと、どうしても気が散ってしまったり、集中が切れてしまったりします。

でも、そのかわりに「今日はなにがあるかわからない」「やってみないとわからない」という仕事では、とても力を発揮します。そういう仕事では、頭の回転が早かったり、行動力があることが強みになります。

たとえば、こんな仕事があります.

「決まった通りにやる」ことより、「その時に合わせて動く」仕事の方が、自分に合っているかもしれません。自分が無理せずにできる仕事。そんな場所は、ちゃんとあります。

ADHDの人は、ふっと思いつく力が強いことがあります。アイデアがわいてきたり、「こうした方がいい」と思いついたり。でも、それをどうやって形にするかで、困ることが多いのです。

思いついたまま話すと、まとまりがなくなってしまう。途中で話がそれてしまう。なにをやろうとしていたか忘れてしまう。これは、ADHDの人の頭の中がとてもにぎやかだからです。

でも、コツがあります。

たとえば、ライターやイラスト、動画づくりなどは、頭の中にある「ひらめき」を形にする仕事です。

最初はうまくいかなくても、ちょっとずつ練習すれば、少しずつできるようになります。あなたの中の「ひらめき」は、とても価値のある力なのです。

ADHDの人は、人との関わり方に疲れてしまうことがあります。まわりのペースに合わせるのがむずかしかったり、長い会話や空気を読むことにストレスを感じてしまったり。

だから、「ひとりでできる仕事」が向いていることが多いです。自分のペースで、自分のやり方で。誰にもじゃまされず、集中できる環境。

でも、「ひとり」はいいけど、「孤独」はつらい。だから、つながりも少しだけ持ちましょう。

たとえば、パソコンを使った仕事（ライター、動画編集、デザインなど）や、軽作業の中でも一人で進められる作業は、ADHDの人にとって「ちょうどよい距離感」があります。

「ひとりだけど、ひとりじゃない」。そう思える仕事を見つけましょう。

ここまで読んでくださったあなたへ。ひとつだけ、大切なことを伝えたいと思います。

ADHDという特性は、「人とちがう」ことではあります。でも、それは「人よりだめ」という意味ではありません。ちがうだけで、ちゃんと使い道があります。役に立ちます。

たとえば、あなたが苦労したこと。うまくいかなかった経験。それを知っているあなただからこそ、「同じように悩んでいる人」の気持ちがわかるのです。

支援の仕事、相談の仕事、ピアサポート（同じ立場の人を助ける活動）。そういった仕事には、あなたの経験がいきる場面がたくさんあります。

「自分には無理」と思うことがあっても大丈夫。ゆっくりでいい。ちょっとずつでいい。大切なのは、あなたがあなたのままで働ける場所を見つけることです。

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