【ADHDなのにマルチタスクを求められる現実】

看護

「“同時進行できる人材”を、障害者雇用で探すなよ」


1. 「発達障害の診断があっても働けますよ」って、嘘だった

求人票には、
「障害者雇用枠」「合理的配慮あり」「個人の特性に合わせた業務」
って書いてあった。
“安心して応募してください”って文言を見て、俺は履歴書を送った。

面接でも、診断名は言った。ADHDの傾向が強く、注意がそれやすく、作業の順序が混乱しやすいと主治医から言われている、と。
でも面接官は笑顔で「大丈夫ですよ、そういった特性にも慣れています」って言った。
今思えば、その“慣れている”って言葉が一番怖い。
慣れているから、対応してくれるとは限らない。
“わかってるけど、何もしない”にも慣れているって意味だったのかもしれない。


2. 「急ぎで!あと、さっきの件もまだですか?」

初日から、話が違った。
いきなり電話対応とデータ入力を同時に任される。
マニュアル? どこ?
誰かに聞いても「これくらいは社会人なら常識だよ」って目で見られる。
俺が障害者雇用だってこと、忘れてないか? いや、むしろそれを言わせない空気が張り詰めてる。

「さっきのデータ、どこまでできてる?」
「すぐ返事して。あ、あとこのメールも返信しておいて」

こっちはまだ、最初の依頼の内容すら整理できてないんだよ。
それを口に出したら「やる気がない」になる。
沈黙すれば「無言で無責任」になる。
どう転んでも負けなんだ。


3. 脳がどんどんパンクしていく感覚

音。声。キーボードの音。電話の着信音。
「おーい、ちょっとこっちいい?」
上司の呼び声が、心を一発で撃ち抜く。

たった一言が頭の中を崩壊させる。
やろうとしてたタスクが吹き飛び、手元の資料が意味不明に見える。
目の前の仕事と、目の端にあるTODOリストと、背後からの圧力と。
すべてが同時に襲ってくる。

“マルチタスクができないのは、要領が悪いだけ”
って思われてるのは、感じてる。
その目線に耐えきれなくて、ミスを連発して、また信頼を失っていく。


4. 「配慮って、口だけなんですね」

人事には何度も言ったよ。「同時に複数の作業を処理するのが難しい」と。
「作業の順序を明確にしてほしい」「1つずつ進めさせてほしい」と。

でも返ってきた言葉は、
「現場は現場の都合があるからね」
「慣れればできるようになりますよ」
「期待してるから、頑張って」

わかってない。
“頑張る”のが無理なんだよ。
もう、頑張って壊れたあとなんだよ。


5. それでも、「甘えるな」と言われたくなくて

「障害者だからって、配慮されて当然って顔をするな」
そんな言葉を、直接聞いたわけじゃない。
でも、空気がそう言ってる。
配慮を求めると「やる気がない」と思われる。
配慮を我慢すると、壊れる。

どっちを選んでも地獄なんだ。

ADHDの脳は、シングルタスクでさえ工夫が要るのに、
今の職場は“何をしていても突然割り込みが来る世界”。
こっちの特性なんて、知ってて無視してるとしか思えない。


マルチタスクが当たり前の職場で、ADHDの俺はただの“地雷”にされる。
気づかれないよう、音を立てず、静かに壊れていくしかない。

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