こんにちは。
今日は学生時代を少し振り返ってみます。
私は20代後半でADHDの診断を受けたため、子供の頃は全く発達障害と言う言葉とは無縁でした。
ですが、発達障害は生まれつきの脳の障害が原因です。ですから、ADHDはある時急に発症したりしません。病気ではないからです。
ADHDの診断基準はこちらから確認できます。もっと詳しく知りたい方は、DSM-5と呼ばれる精神科の医師が使う診断基準の本を探してみてください。
この診断基準によると、
- しばしば6カ月以上認められる
- 患児の発達水準から予測されるよりも著しい
- 少なくとも2つ以上の状況(例,家庭および学校)でみられる
- 12歳前に(少なくともいくつかの症状が)みられる
- 家庭,学校,または職場での機能を妨げている
- 不注意症状:
- 細部に注意を払わない,または学業課題やその他の活動を行う際にケアレスミスをする
- 学校での課題または遊びの最中に注意を維持することが困難である
- 直接話しかけられても聴いていないように見える
- 指示に従わず,課題を最後までやり遂げない
- 課題や活動を順序立てることが困難である
- 持続的な精神的努力の維持を要する課題に取り組むことを避ける,嫌う,または嫌々行う
- しばしば学校の課題または活動に必要な物を失くす
- 容易に注意をそらされる
- 日常生活でもの忘れが多い
- 多動性・衝動性症状:
- 手足をそわそわと動かしたり,身をよじったりすることが多い
- 教室内またはその他の場所で席を離れることが多い
- 不適切な状況で走り回ったり高い所に登ったりすることがよくある
- 静かに遊ぶことが困難である
- じっとしていることができず,エンジンで動かされているような行動を示すことが多い
- 過度のおしゃべりが多い
- 質問が終わる前に衝動的に答えを口走ることが多い
- 順番を待てないことが多い
- 他者の行為を遮ったり,邪魔をしたりすることが多い
このうち6つ以上の症状が1つのグループまたは各グループにある必要があります。
私の場合、授業中椅子に座っていることはできましたが、不注意症状はほぼコンプリート、おしゃべりや高い所は大好きでした。
家庭でも状況は変わらず、小さいころから一貫して症状があったので、今思えばそりゃそうだよなあという感じ。
私が子供の頃は発達障害なんて言葉はなかったので、気づくまでずいぶん時間がかかってしまいました。
令和6年の今はTVやネットでもしょっちゅう「発達障害」という言葉を見かけます。世間の認知度も上がり、私からするといい時代になったなあと思います。
今は特別支援学校だけでなく、通常の学校にも支援級というクラスが設置されているところが増えています。
学校側も発達の遅れや障害が疑われる場合は精神科への受診を勧めてくれるところもあるそうです。
私は発達・知的障害などが疑われる場合は、早期発見、早期治療をした方がいいと考えています。
理由は、自身の困りごとの原因が発達障害や知的障害にある場合、原因がわからないと「何か分からないけど何をやっても上手くいかない状態」になります。
この状態は本人にとっても、周りにとってもかなりつらいです。
たとえば、勉強をやればできるのにサボり癖があってやらない、という子供の場合。親がいくら叱っても子供は勉強をしないことがあります。
この場合、子供がADHDだと「本人もやらなきゃいけないことは分かっているのに、どうしてもできない」場合があるのです。
それはADHDの特性に原因があるため、適切な原因の解明と治療が必要になります。
しかし、ただ子供がサボっているだけだと親が判断して叱り続けると、二次障害を起こす原因にもなってしまいます。
二次障害とは、心理的な傷つきや精神的不調を抱え、それが日常生活の支障となることです。
本人は何とかしたいと思っているのに自分の力ではどうしようもできない。親には毎日叱られる。
そんな毎日が続くと、生きることそのものが嫌になったり、学校に行くこと自体やめてしまうこともあります。
大抵の親や学校の先生は発達障害について詳しくないですから、昔ながらの精神論で「勉強しなさい。学校に行きなさい。休むのはダメ」となりがちです。
もしこの記事を読んで下さった方が学生さんやお子さんがいる方で私と同様の悩みを抱えている場合、一度専門機関で調べてもらうのもいいと思います。
私は勉強が大嫌いだったのですが、何とか休まずに学校に通い続けて卒業することができました。
ですが、今思うとやっぱり自分は「へんなヤツ」だったと思います。
批判を承知で書きますが、私が学校でやってこれたもう1つの理由は、「自分もヘンだけど、もっとヘンなやつがいたから」というのもあります。
私は小・中・高全て公立だったのですが、いずれも今の基準なら知的なハンデや発達障害がありそうなクラスメイトが複数いました。
風呂に入らない・歯を磨かない・会話が成立しない・文字が読めないレベルの同級生がまわりにけっこういたのです。私だけでしょうか?
上記以外でも、物を盗む・すぐ人を殴る・授業中に外に出るような生徒もいました。今の学校はどうなんでしょう。
私は自分自身勉強ができないと思っていましたし、実際できないのですが、「勉強ができない」クラスメイトの中にもグラデーション(濃淡)があったのです。
具体的に言うと、二次関数がわからない・分数の計算ができない・九九ができないといった感じ。
学校の授業は決められたカリキュラムに沿って行われますから、一度どこかで脱落すると、勉強についていけなくなりやすいです。
数学の授業で二次関数のテストをすると、私を含めたバカ軍団はみんな赤点を取ります。それは、みんな二次関数を理解していないから。
ですが、バカ軍団をよく観察すると、二次関数だけ分からないバカと、かけ算の九九が5の段までしか言えないバカも一緒になってるのです。
あとは、地頭はいいけど勉強が嫌いでやらないやつもいました。
学校の先生はテストの点、授業態度、提出物などで成績を決めています。
私はヤンキーや不良ではなかったので、そういう人たちがたくさんいる高校には行きたくありませんでした。
ですから、テストができなくてもなるべく宿題だけは出していました。授業中はしゃべってましたが。
ですが、結局内申が足りなかったので一般受験でギリギリ入れるレベルの高校に行きました。
私のバカ仲間の中には、宿題もいっさいやらないやつがいました。夏休みの宿題もやったとウソを付いて切り抜けていました。
そんな彼も学校にはちゃんと通って無事卒業しています。発達の観点から見ると色々突っ込みどころはありますが。
学校生活で大切なことは、勉強もそうですが、体育や部活。これが非常に重要です。勉強だけできても運動オンチだといじめられたりします。
私がいじめられずに済んだのは、正直部活のおかげでしょう。運動オンチだったので当時はつらかったですが、今は感謝しています。
先ほど書いた「勉強ができないバカ」でも、運動ができれば一気にクラスのボスやスターになれます。学校とはそういう世界です。
私の小中の友達は筋金入りのバカ(ごめん)でしたが、スポーツでは地域のクラブチームに推薦で入り、甲子園にも出ました。大学もスポーツ推薦です。
彼はクラスで恐らく一番モテてましたし、コミュニケーション力が高く、義理人情にも厚くいいやつでした。私も彼のグループに入れてもらい、楽しく過ごしました。
学校生活で生き残るための手段はいくつもあります。お笑いキャラ、ヤンキー、がり勉くん、情報屋(笑)など。
もし自分が「ガリ勉くん」だったら、みんなにノートを貸したり勉強を教えて「ハカセ」ポジションで生き残りを図るでしょう。
学校生活で一番大事なのは「出席」と「孤立しない(または孤立してもやっていけるようにする)」ことのように思います。
正直公立小~高校は出席さえしていれば、どれだけ赤点でも卒業はできます。逆にテストの点が良くても出席日数が足りないと卒業できません。
私は友達に会うために学校に行っていたので、出席日数は足りていました。
もし学校に自分の居場所がなく、毎日暴力や暴言に晒されていたら、よほどメンタルが強くないと学校に行かなくなってしまうと思います。
学校に行くことが全てではありませんが、働くにしても中学は卒業する必要がありますし、高卒以上でないと取れない資格も多いですからね。
ADHDの特性の1つに、「先を見通す力が弱い」というものがあります。
たとえば、2週間後にテストがあるとします。普通の人はそこから逆算してテスト範囲を確認、どこがどの程度テストに出るか調べて、時間配分をして勉強します。(たぶん)
ですが、私の場合はすべてガバガバです。テスト面倒だな。今日は疲れたから明日がんばろう、なんて言ってるうちに前日になっています。
慌ててテストの日の夜中に一夜漬けをしますが、そんなことで頭に入る訳もなく、赤点を取るのです。
もっとひどいと、一切勉強せず、当日カンニングをして先生にバレたやつがいました。私のいた学校は、カンニングは1教科見つかった時点で全教科0点になります。
これが普通の人なら、カンニングをするリスク・バレた時のリスクを考えてやらないでしょう。つまり「ワリに合わないからやらない」のです。
自分がカンニングした相手の答案が合ってるとは限りませんし、答案が全く同じなのも怪しまれます。バレた時の全教科0点も痛すぎる。
当時カンニングで捕まった彼がどんな考えで実行に至ったかはわかりませんが、頭のいい行動とは言えない気がします。
発達障害の人がつまづきやすいのは、「環境が変わった時」だと言われています。何の本に書いてあったかは忘れてしまいました。
小学校から中学校に上がる時、受験、就職活動、社会人になって働き始めてから、結婚してから、などなど。
学校は子供にとって1年の半分以上を過ごす場所ですから、つまづくと大変苦労します。
もしあなたやあなたのお子さんが学校でつまづいていて、原因が分からないとしたら、もしかしたらそれは脳の作りが人と違うからかもしれません。
発達障害だと人生で苦労することが多いのは事実ですが、だからといってあきらめる必要もないと考えています。
今は世間の認知度も上がっています。治療のガイドラインなども確立されていますから、適切な対応をすれば生きやすくなる可能性は高いです。
気になったら、まずは近くで発達障害を診てくれる専門機関に相談しましょう。
分からなければ各県の保健センターや発達障害者支援センターに聞けば教えてくれます。
まず落ち着いて、周りに相談すること。自分一人で抱え込まず、あきらめないことが大切です。
私も一当事者、医療従事者としてこれからも発達障害を抱える人の助けになりたいと思っています。
それでは。
ここまで読んで下さりありがとうございました。
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