こんにちは。
障害者雇用については以前1度記事を書きましたが、その続きです。
障害者雇用の就職がますます厳しくなった
まずはこの話題から。数年前までは通常なら学歴フィルター等があって入れないような大手企業、大企業に入るための抜け穴的な側面もあった障害者雇用ですが…
今や条件のいい障害者雇用求人はすっかりハイスペック人材に占領されてしまいました。
その主な原因は、「精神障害者の増加」です。2016年に392万人だった精神障害者の数は、2022年には614万人まで増加しています。
その他の障害者の数も増えていて、全体では936万人から1164万人まで増えています。(厚労省推計)
精神障害はうつ病や統合失調症など、後発的に受傷するものと、ASD、ADHDのような先天性の発達障害の2種類に分かれます。
発達障害の場合は生まれつきなので、成人するまでにかなり苦労したり、いじめや失敗体験が原因で気分障害などの二次障害になってしまう方もいます。
しかし、後発性の精神障害の場合、受傷するまでは健常者だった方も沢山います。発達障害の場合でも、大人になってから発覚する人も増えました(私もです)
ここ数年で特に増えているのは、いままで健常者として一般雇用で働いてきたけれど、何らかの理由で精神障害を受傷したケースです。
高校~大学までは問題なく過ごしてきた、もしくは多少生きづらさはあったが何とかやってきて、就職してからつまづいてしまった方が多い様に思います。
そうした人たちは、能力的にはわりと高めで、専門的なスキルや経験を持っている方が少なくないのです。
今障害者雇用で大企業や優良企業の雇用枠を勝ち取っている人たちは、主に高学歴、専門性のあるスキルを持った精神障害の方でしょう。
身体障害の方も一定数いますが、実は身体障害者の7割は65歳以上と高齢化しています。医療福祉の充実、技術の発達に伴い、身体障害があっても一般雇用で働く人も増えたからです。
~10年前までの障害者雇用では、主に知的障害、身体障害の方中心の雇用がされていました。
知的障害の方は作業所や工場、農業など一次産業的な仕事に就く方が多く、身体障害の方は能力に応じて軽作業~健常者並みの業務まで幅広く雇用されていました。
そこに精神障害の雇用が義務化されて、主に事務補助系の仕事を担うようになってきました。
精神障害の方は障害の程度や能力のばらつきが大きいため、100人いたら100通りの対応が必要になります。
ここ5年程は、業務のICT化や効率化が進み、事務補助的な仕事がなくなってきました。
ペーパーレス化で書類や文房具の発注、ファイリング、整理、郵送といった業務は一気に減りました。書類はスキャンしてメールで送る時代になったからです。
業務支援ソフトも充実したため、コールセンターは機械音声の自動案内になり、経理や総務の仕事も高度な仕事以外は自動化、効率化、もしくは外注に取って代わられました。
ざっくりまとめると、簡単な仕事、楽な仕事がなくなって、そこにハイスペック人材が入ってきたおかげで障害者雇用のイス自体が減ってきているのです。
障害者雇用の求人自体は調べれば沢山出てきますが、今までなら余裕で通るレベルの求人にもハイスペック人材が沢山応募してきているため、採用されるのは見た目よりも狭き門だと思います。
それなりに大きい企業なら障害者雇用の動向もしっかり調べていますから、同じ求人でもより良い人がいればそちらを取りたいと思っています。市場原理なので当然です。
障害者雇用求人の二極化とミスマッチ
「障害者雇用 求人」とかで調べればわかりますが、求人内容が二極化してきています。
例えば東京なら低賃金で定型的な業務が中心の求人と、高い賃金で高度な専門性や経験、スキルを求められる仕事、という感じです。
東京都の最低賃金は1163円ですから、最低賃金だと総支給で18~20万円くらいです。
これがハイスペック向け求人だと25~45万円、もしくはそれ以上の条件で出ていたりします。倍近く差があるのです。
一般雇用で出ている条件より高い求人もザラにあります。地方は事情が違うと思うのでちょっとわかりませんが、東京・千葉・神奈川・埼玉は似たような状況です。
障害者雇用求人の二極化の何が問題かというと、人材のミスマッチが起こることです。
1164万人いる障害者のうち、614万人は精神障害者だという話を最初にしました。障害者の2人に1人は精神障害ということです。
今増えているのは中途受傷の精神障害や発達障害なので、通常の高校、大学を出た、もしくは社会人経験のある方が多いのです。
能力的にはアルバイトなら問題なくこなせるレベル~正社員や契約、派遣社員として何年か働いたことはある、という方が多いと思います。
すると、最低賃金レベルの仕事では生活がままならない、スキルやキャリアが積めないので困るが、ハイスペック向けの求人は要求されるスキルや経験が足りない、となります。
障害者雇用を希望する求職者の能力のボリュームゾーンは今市場に出ている求人の中間レベルなのに、出ている求人は希望より要件も条件も低すぎる・もしくは高すぎるのです。
それでも一般雇用では障害配慮も理解もないため、最低賃金レベルの仕事でもかなりオーバースペック気味な方が就業しているのが現状だと考えています。
まあこの辺はデータを取って集計したわけではないので妄想と言われればそれまでですが・・・あくまで実務で関わっている範囲の実感で書いています。
ハイスペック向けの求人は主に高学歴で大企業の一般雇用で就職→残業過多で体を壊したり、うつ病や発達障害でつまづいてしまった方が就いてます。
一般雇用ではうまくいかなかったけど、障害者雇用でなら障害配慮と周囲の理解を得ながら大企業で働けるかも!と思っている方は、お気を付けください。
あとは、大企業や優良中小では最初から専門の就職エージェントに非公開求人限定で求人掲載するところも増えていると思います。
なぜかと言うと、誰でも見られるところに好条件の求人を掲載すると、めちゃくちゃ応募が来て処理が大変だからです。
障害者雇用の求人枠はせいぜい1人か2人、多くても数人です。大企業が募集をかけると、それこそ数十~数百人から毎月応募が来ます。
人事もヒマじゃないので、いちいち見るのも大変ですし、不採用通知でも通知を送らないといけないので、最初からエージェントにハイスペック人材だけ紹介するよう頼んだりします。
誰でも見られるところにあって、かつ年中募集をかけてるような求人は気を付けた方がいいかもしれません。人の出入りが激しいとか、全然配慮がされないとか、何かしら理由があります。
給料がよくて、仕事内容もキャリアアップできるような内容で、合理的配慮もきちんとしているような会社は確かに存在します。
しかし、そのような会社の求人は一瞬で埋まります。応募は多いし、求職者のレベルは高いし、かつ入っても誰も辞めないからです。
障害者雇用の求人を探している人は、試しに1カ月ほど毎日ネットで求人を見て回るといい勉強になりますよ。
最近はエージェント専用の求人が本当に増えたので、どこかしら大手の就職エージェントを使ってみるのもアリだと思います。
就職エージェントを使う時の注意点
エージェントは契約を決めるとお金を貰える成果報酬のお仕事なので、就職が決まるまではきちんと面倒を見てくれると思います。
もしエージェントが求人紹介してくれない、もしくは就職が決まらない場合、考えられるのはいくつかパターンがあります。
多いのは①エージェントがポンコツな場合と、②あなたが求める条件が高すぎる、もしくは③就労準備性が整っていない、この3つかと思います。
エージェントの質は本当に運次第なので、合わない場合は他社を利用するか、違う人に変えてもらいましょう。
②の場合。エージェントはあなたの履歴書や職務経歴書をもとに合いそうな求人をいくつか紹介してきます。
持ってくる求人はほぼ受かるだろうというものから、妥当~やや厳しいところまで幅広いです。
何せ成果報酬ですから、どこかしらに就職が決まってくれないとエージェントも困るわけです。
ただ応募するかどうかはあなたが決められます。好条件の求人だけ応募するのももちろんOKです。
しかし、高望みしすぎると、求人の要求スペックとあなたの能力が合わずに不採用が続くことになります。
エージェントも沢山の求職者を相手にしていますから、あまり要求ばかりすると相手にしてくれなくなります。この点は気を付けましょう。
最後に③ですが、そもそも就職するにはまだ体調・メンタル共に十分整っていないというパターンです。
現在休職中だったり、直近で短期間の離転職を繰り返していると、障害者雇用とはいえ採用担当者は警戒します。
入社してもまたすぐに転職されるんじゃないか、休職したり急に来なくなるのでは?と思われてしまいます。
復帰前にアルバイトする、生活リズムが整っていることを伝えるなど、こういう理由できちんと働けます!という説明はできるようにしましょう。
まとめ
ここ数年での精神障害者の激増、ハイスペック人材の流入により、好条件の求人は競争率が上がり、残った障害者求人枠の取り合いが起こっています。
今後は、障害者雇用でも求められる仕事のレベルが上がり、競争もより激しくなると思います。
就職を勝ち取るためには、自分の職歴・スキル・経験などをきちんとアピールできる形に整理すること。
障害内容、働くために必要な配慮事項を理解し、伝えられるようにすることが大切です。
就職エージェントは善し悪しがありますが、きちんと使えば好条件で就職するための近道になります。
ちなみにおすすめのエージェント会社はなく、会社と言うよりは担当エージェントとの相性が大事だと思います。
けっこう熱く語ってしまいました。障害者雇用についてはまた別の機会でもお話したいと思います。それでは。
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