こんばんは。Kです。
最近は「副業」という言葉をネットでも電車の中でもよく見るようになりました。
有名なのは「せどり」「youtuber」「ウーバーイーツ」とかですかね。
本業以外の仕事を空き時間でやって収入を得るやり方です。
私は性格的に「せどり」は合わないのでメルカリは登録だけして放置してます。
youtubeへの動画投稿&編集は興味あるので明日からでもやりたいです。
ただ方向性を決めきれてないんですよね。看護はもうベテランの先輩方がまじめな動画投稿されてますし、ネタ系はあいりDXさんや天才ピアニストさんなんか有名ですね。
ウーバーはバイクでやれば結構稼げそう。
労働集約型(働いた分だけお金がもらえる)は時給がおいしくないと気が進まないのが正直な所です。
では本題いきます。
前回は美容ナースのお仕事についてお話しました。
今日は透析についてやります。
サクッと読みたい方はマーカーのあるとこだけ読んでくださいね。
・透析看護師になるには
看護師としてそれなりの規模の病院に就職すると、大体の人は病棟配属になります。
病院の機能としては一番大きいと言えるでしょう。
ケガや病気で入院が必要な人が24時間通して治療と療養生活を送るところですね。
ですが、病院には様々な顔があります。
大きく分けると外来/検査/それ以外でしょうか。
腰が痛い人は整形外科の外来に来るし、健康診断の人は検査室に来るでしょう。
透析はそれ以外の部分に当たります。私の病院では外来扱いでしたが。
手術室や内視鏡室に配属されるのと同じく、運よく(悪く?)病棟配属ではなくなると、
「あなた透析室行ってね」となるわけです。
そもそも、透析ってなんやねん。といいますと、正しくは血液浄化療法と言います。
ざっくりいうと血液を抜いて、血液の中のゴミを別の液体に移してから、元の体に返しています。
一時期インチキ医療で血液クレンジングが流行りましたが、あれとは違いますよ。
透析をするのは腎臓の働きが悪くなった人です。主に末期腎不全の患者さんですね。
先生や臨床工学技士(ME)さんに見られたら色々突っ込まれそうですが、気にせずいきます。
人間の体には腎臓と呼ばれる臓器があります。
腰の背中側の右と左に一個ずつあるこぶし大の臓器です。
ここでは血液から体に必要ないもの(ゴミ)をおしっこにして取り出して捨てています。
ですが、この腎臓がやられると血液からゴミを持ってこれなくなったり、
必要なものまでおしっこから出しちゃったりします。
腎臓が完全にやられると、おしっこ自体が出なくなります。
すると体の中をおしっこで出すはずだった成分=ゴミが溜まったままの血液が回り始めるのです。
おしっこ飲む人はいないですよね?一部の変態を除いて。
いらないからトイレで出してるわけです。
でも腎臓が働かないと尿が出ませんので、強制的におしっこ飲まされてるような状態になります。
この状態が長く続くと、尿毒症といって全身に異常が出始めます。
放っておくと体がだるくなり、頭は痛くなり、体がむくみ、脈は乱れ…など全身が
ディズ〇ーランドのパレードばりに悲鳴をあげることになります。
最後は意識が消失して死んでしまいます。その前に大体苦しくなって病院へ運ばれますが。
そうならないために、患者さんは末期腎不全(腎臓のはたらきが15%以下)になると
透析治療を受けることになるのです。
透析看護は、これから透析をする、あるいはすでに透析治療を受けている患者さん相手に働くということになります。
透析を受けるようになるまで腎臓が悪くなってしまうと、自然に良くなることはありません。
つまり一度透析が必要になると、死ぬまで透析をするか、
腎臓移植を受けるかの2択になってしまいます。
末期腎不全の診断を受けて、「このまま死ぬまで透析はしない」という患者さんもいます。
もちろん透析治療は強制ではないので、「透析をしない」自由もあるのです。
ですが私が見てきた限り、最初は透析拒否しても医師や家族の説得で考えを変えるか、
尿毒症で苦しくなり搬送されて透析導入となる方がほとんどのように思います。
前置きがずいぶん長くなってしまいました。
透析ネタは沢山あるので、書こうと思えば1時間分くらいは書けるのですが、
ここからはざっくりいきます。
透析看護師の仕事内容
1日の仕事内容で言いますと、
①透析の準備と開始、終了
②透析中の患者さんの看護
③生活指導(運動/服薬/食事指導)。情報収集、薬、検査の調整、体調管理
ざっくりこの3つでしょうか。
①から行きましょう。
①透析の準備と開始、終了
透析患者さんは、基本的に通いで病院に週2~3回来て治療を受けます。
そして、透析をすることが決まると利き手と逆側にシャントを作る手術を受けます。
シャントとは、静脈(V)と動脈(A)を手術でつないだ血管のことです。
街中で腕の血管がボコっと出てる人、見たことないですか?
普通の血管では細くて透析に必要な血流量が確保できないのです。
そのシャントと透析の機械(コンソールと言います)をつないで、透析を始めるのです。
血管と機械をつなぐわけですので、看護師は専用の針を持ってシャントに刺すことになります。
シャントには血液を抜いてコンソールに送る側と、綺麗にした血液を返す側で2回刺します。
ちなみに病棟では絶対使わないような極太の針です。
ゲージ数で言うと15,16,17Gです。
皆さんが採血の時に刺される針は22Gと言います。番号が小さくなるほど太いです。
コロナワクチンの接種に使う針は25Gと考えると、かなり太いということがお分かり頂けますか。
これを穿刺(せんし)と呼びます。
コンソールには透析回路とダイアライザーがつながっています。
ダイアライザーは大きな筒の中に化学繊維の細い束が無数に入っています。
この束で腎臓の代わりに老廃物を濾し取っています。
透析回路は腎静(動)脈、ダイアライザーは腎臓の代わりみたいなものです。
穿刺は留置針のような専用の針で、穿刺した後外筒を抜いて透析回路につなぎます。
そしてコンソールのスイッチON。血液が患者さんの体からコンソール側に抜かれていきます。
血液はそのままだと固まってしまいますので、途中で血液をサラサラにする薬(ヘパリン)を入れます。
無事に血液が機械を一周したら透析スタートボタンを押します。
人体は24時間365日休みなく働いています。
どんなに怠け者の人でも心臓止まったりしませんよね?腎臓もそうです。
透析は人によりますが大体1回3~5時間です。
腎臓の24時間労働と比べると短いですよね?
そう、つまり透析には限界があるのです。
本当は長くやろうとすれば出来るのですが、医療費や拘束時間など、さまざまな大人の事情で
この時間になっています。
3~5時間という短い時間でなるべく多くの血液を綺麗にするため、医師の指示で1分間にどの位の血液をコンソールに引っ張って返すのかというのが決められています。
透析時間が終わると、コンソールが音で教えてくれます。
患者さんの体調に異変がなければここで機械を止めて、
透析回路に残った血液を患者さんの体に返します。これを返血と言います。
血液をサラサラにする薬を使っているうえに、太い針を刺しているので
患者さんには5~10分程度針を抜いてから押さえてもらいます。
また、透析は腎臓がおしっことして体の外に出せなかった水分も無理やり抜くので血圧が下がりやすいです。
透析終了時は止血と血圧低下していないかしっかり確認してから患者さんに帰ってもらいます。
看護師は患者さんが帰った後、血だらけの透析回路を片付けます。患者さんの寝ていたベッドも綺麗にしましょう。
私は血が苦手だったのですが、透析で働くようになってから平気になりました。
病院によっては1日に患者さんが2~3回転するので、次の患者さんが来る場合は急いでベッドを片付けてまた透析ができる状態にしておきます。
②透析中の患者さんの看護
①では透析開始、終了の話だけしたので全部端折ってますが、大事なのはこの部分です。
先ほどお話したように、透析の機械は完ぺきではないです。
血液を綺麗にできる時間も短いですし、透析をすることで必要な成分まで抜けていってしまうこともあります。
さらに短時間で無理やりおしっこして出るはずだった水分を抜くので、急に血圧が下がって
気分が悪くなる患者さんも多いです。
そのため透析開始時、終了時、透析開始から1時間ごとには必ず血圧を測ります。
今どきの透析コンソールには全自動血圧計が付いていますのでこれは楽です。
透析患者さんは大体ものすごい高血圧です。
収縮期血圧(いわゆる”上”の血圧)が180とか200とかザラにいます。
血圧は末梢血管抵抗×循環血液量。
つまり血管が硬くて流れる血の量が多いと血圧が上がるのです。
透析患者さんはおしっことして出ているはずの水分が体に残ってますので血液量が多いです。
さらに透析をすると骨が血液中に溶け出して血管にくっついて石灰化=硬くなります。
腎臓はレニンーアンジオテンシン系という血圧を上げる体のシステムもありまして、
透析患者さんはこの機能も正常には働いていません。
血圧を上げる要素が特盛なのです。
血圧150~の人が3~5時間で1~2Lなんて水分を体から抜かれたらどうなるか。
血圧はジェットコースターのように下がり、気分が悪くなるというわけです。
透析中は透析回路が固まらないように血液サラサラの薬(抗凝固薬)が体内に入ってますので
患者さんはとても出血しやすいです。
透析中にどこか切ったり、ぶつけたりすると血が止まりません。
外傷も怖いですが、もっと怖いのは体の中の血管がプツンと破れることです。
これが脳なら脳出血ですし、太い血管なら血が止まらず大変なことになります。
ただでさえ透析患者さんは血管が硬い&血圧が高くて血管に負担がかかっています。
蛇口に古いゴムホームをつないで全開にしているようなもんです。
看護師はその辺を頭に入れて無事に透析が終わってくれるように祈りながら見守っているのです。
③生活指導(運動/服薬/食事指導)。情報収集、薬、検査の調整、体調管理
透析になる原因疾患第1位は昔から現代まで変わっていません。
透析患者さんの原因疾患第1位、それは糖尿病性腎症です。
全体の約40%を占めています。
糖尿病の三大合併症は糖尿病性網膜症、腎症、神経障害です。
つまり目が見えなくなって、おしっこが出なくなり
手足の先がビリビリしびれてきます。こわっ。
透析になるまで糖尿病が悪化した人というのはすでにかなり病気が進行しています。
少なくとも糖尿病性腎症にはなっているので、透析を始めた時点でおしっこが出ていても
いずれ全く出なくなります。
患者さんの4割はこれらの症状がある、あるいはこれから発症する可能性が高いので
腎臓由来の病気で透析になった人よりハイリスクなことが多いです。
この糖尿病の患者さんのほとんどが2型糖尿病。
つまり後天的な生活由来のものですので、めちゃくちゃな私生活の人が多いです。
毎日缶コーヒー〇本飲んでる、食事はコンビニと外食、運動はしてないetc…
そうです。生活指導が必要なのです。
透析をすることになると、水分、塩分制限をしなくてはいけません。
腎臓が正常ならいくら飲んでもおしっこになって出ていきますが、末期腎不全は尿が出ないからです。
ラーメンや漬物など、塩分の高いものを食べると人間の体は体内の塩分を薄めるために
水を飲みたくなります。ですから水も塩も取りすぎNGなのです。
後は危険なものとしてカリウムがあります。
取りすぎると不整脈→心臓が止まります。
生野菜、海藻、果物、納豆、肉なんかは沢山入ってるのでこれらも取りすぎNGです。
といっても今まで好き放題やってた人に「あれとこれやって」と言ってもやりません。
ですから健康な人の健康相談や指導と違って、看護師の実力が試されるのです。
透析中にできる運動を提案したり、塩を使わなくても美味しく食べられるレシピを紹介したり…
処方された薬もきちんと飲んでくれない人が多いので、内服カレンダーも作りましたね。
透析患者さんは月に数回定期採血があります。
そのため飲んでないのに薬を飲んだとか、
ウソをついたりこっそりいけないものを飲み食いしていても即バレます。
慣れてくると採血結果でこの人何食ったな~とかわかるようになります。
指導のコツは患者さんを責めないことです。言いたくなりますけど。
透析患者さんは週3回4時間透析に来るとして、週12時間も時間を取られています。
しかも2日に1回極太の針で2回も刺されるのです。痛み止めは当然使ってますがそれでも痛いです。
その上水は飲むな、アレとコレは食うな、運動しろ、塩分は取るなと言われるわけです。
まさに生き地獄なのです。
私は綺麗ごとで「患者さんに寄り添う」「患者さんの気持ちになって」
などという考え方が好きではありませんし、強制されるのも嫌です。
ですが透析で働くようになってからは、綺麗ごと抜きでどうしたら患者さんの苦痛を減らしていけるか
考えられるようになった気がします。
透析患者さんの1番の苦痛は実はこのあたりにあります。
こんな生活するくらいなら「〇にたい」いう方も沢山います。
透析室で働き始めたらわかるのですが、
正直手を抜こうと思えばいくらでも抜けます。
最低限穿刺して、機械を回して、異常がないかさっと見て、機械を止めて帰すだけ。
これでも実際何とかなってしまいます。
特に入院患者のいない透析室やクリニックではできてしまうでしょう。
もしこれを読んでくださったあなたが透析の仕事をする時は、頭の片隅でもいいので
透析を受けている方の苦痛を考えて接してみてあげてください。
メジャーな循環器、呼吸器、脳神経、消化器
などの大御所と比べると腎臓は地味に映りがちですが、
大事な臓器だということがわかって頂けたでしょうか。
けっこう長くなってしまいました。
透析看護師の1日のスケジュール
私が働いていたころの1日の流れをお話しします。
8:15 出勤 その日の受け持ち確認&点滴や内服薬セット。
8:30 ミーティング。その日注意する患者さんや入院、ハイリスクな方の情報共有。
8:40 患者入室。体重を測り介助が必要な患者を移乗する。
8:50 穿刺。全員で順番に患者さんの穿刺をして透析の機械を回す。
9:30~ 入院の患者さんはこの時間から入室。全介助でルート類も多いので注意しつつ穿刺。
10:00 全員の血圧測定。まだ入室していない患者はこのタイミングで呼ぶ。
10:10~11:00 受け持ちの体調確認&情報収集。電カル入力。
検査や処方が必要な人の情報をまとめてDrに指示受け。同意書なども書いてもらう。
11:00 血圧測定。看護師は1人フロアに残して休憩に入る。自分の受け持ちのバイタルや注意事項を
残るNsに伝える。
11~12:00 休憩。狭い部屋で先輩とタコ部屋状態なので全然気が休まらない。
12:00 フロアへ戻る。残っていたNsと交代。引継ぎを受ける。
血圧測定。3時間透析の人はそろそろ返血となる。
12:30~続々と透析が終わっていく。MEさんと協力しながら返血、抜針(留置針を抜いて止血)
13:00~ 1回転目の患者さんが帰っていく。残りの患者さんを見ながら2回転目の患者さんの準備。
13:30~ 1回転目の終わりと2回転目の準備で慌ただしい。
14:00~ 2回転目の患者さんが入ってくる。来たら体重を測ってベッドへ案内。穿刺。
1回転目の入院の人たちも帰っていく。
15:00 全員穿刺終了。血圧を測る。午後出勤のNsに引継ぎ。
Drとカンファレンス。参加しないNsは記録やカルテ整理、検査予約、午後Nsのフォロー。
15:30 使わないベッドは片付けて明日の準備をする。
合間に物品補充や使った物の消毒、書類の整理など。
16:00~ 全体のミーティング。今日の患者を全員振り返り情報共有。
入院、検査、輸血などイベントのある患者はカルテやホワイトボードに記入して次の日のNsが
わかるようにする。
16:30~ 業務の漏れがないかチェック。次の日も出勤の場合は早めに情報取る。次の日の自分の受け持ちが検査やOPE、入院なら次の日は早く来て用意することになる。
17:00 業務終了。何もなければ帰る。残業した場合は各自で届をかいて提出。
文字にすると大したことないですね。
何もなければめちゃくちゃ楽なのは事実です。
技術看護なので病棟のような煩雑さや清潔ケアはほとんどありません。
患者さんが血圧低下すると嘔吐や失禁するのでその処理はあります。
で、透析の仕事は結局どうなの?コスパいいの?
おすすめ?給料は?休みは?
①基本的に病棟より業務の絶対量は少ない。
2回転/日までなら。3回転/日の病院は地獄(先輩談)
②オールナイト透析をやってないところは夜勤がない。つまり夜勤手当がない。給料は病棟より安い。
クリニックの場合日勤のみで30万前後もらえる。
③90%くらい定時で帰れる。
30分~1時間の残業はたまにある。
年に1~2回3時間くらい残業することもある。
④透析は休みが少なめ。透析治療の特性上やらない訳にはいかないので年末年始祝日も関係ない。
⑤慣れると何もない日は70%くらいの力でも仕事できる。
回転数や透析時間の関係上、絶対に時間内に仕事を終わらせないといけない。
処方や検査予約、処置も患者さんがいる間にしかできない。帰っちゃうから。
⑥労働量、休日、給料を総合すると薄給ホワイト寄りか。体力がなくてもできる上に一生なくならない。
1度覚えれば全国の透析で働ける。
細く長くやっていくにはいい仕事だと思う。
もっと短くまとめるつもりだったのですがどうしても説明がいるので長くなりますね。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
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